ほよほよぴ〜なっつ

放出系魔法

1人で叫び続けるさけびんちゅ vs コロナ

 

都内の電車内、孤独な叫び人(以下さけびんちゅ)、無害とは分かっていてもなんとなく緊張感ただよう車両、そんなに珍しい光景でもない。

 

さけびんちゅ自体の数は多くないものの、悪態系・騒音系・駅名連呼系などいくつかのカテゴリに分けられる。基本的には他の乗客に加害することは少ない。

 

今日のさけびんちゅは悪態系だった。

おばあさんがよく持っている手押し車を押しているおばさん。動き出した車内を移動中に転んだことをきっかけに悪態絶叫がはじまった。

 

悪態系のさけびんちゅには主張がある。

「わたしが転んだのは鉄道のせい。お掃除の人が私を転ばせようと床をつるつるに磨いたし、そのうえ運転手はわざとブレーキを踏んだ。あいつらは客を転ばせて金をもらっているのだ。最低だ。警察があいつらを殺せばいい」

とのことだった。

 

いつもならそんなに気にせず、声量がうるせーな、と思うくらいなのだけど、

今回ばかりは飛沫が気になりチラ見してしまった。

 

 

こういう人も、この未曾有の事態においては、

きちんとマスクするんだ。

 

 

BtoCで働くと、問い合わせフォームにさけびんちゅの主義主張の煮凝りみたいなメールがくるものだが、あの人たちもきっとマスクしてるんだろうなあ。

 

コロナはヤバい。

さけびんちゅよりずっとずっとヤバいのだ。

 

 

以前、電車内で、ひととおりの被害妄想を叫びきった後に、ふと我にかえったかのように、小声で「もう疲れた、死にたい」と言ったさけびんちゅを見たことがあった。

あの人はどうしているだろうか、彼女にとってこのコロナは誰のせいなのだろうか。

マスクをして、叫んでいるのだろうか。

 

 

実家の最寄り沿線でよく会う、穏やかに駅名を読み上げ続けるさけびんちゅが懐かしい。

私が叫ぶなら、何を叫ぼう。

できれば駅名、大人しめの唸りであれ、と思う。

現実を認識しながら、脳の強制力に抗えず叫び、そのあわいに、我にかえる、なんて、堪えられるかわからない。